矯正治療の時期
矯正治療をいつ始めるかという質問がよくあります。
乳歯列がどうでも良いとうわけではありませんが、目標とするものは、きれいな永久歯列の完成です。20本の乳歯がいきなり28本の永久歯に変化するわけではないので、生え変わりの順序を知ることが重要です。
では、永久歯はどのような順序で萌出してくるのでしょうか?
個人差も大きく、絶対にこうなるとは言えませんが、まず6才臼歯ともよばれている第一大臼歯が、その言葉のごとく6才前後に乳歯列の最後部に萌出し始めます。それと、前後するように、前歯からある程度順序通りに永久歯への交換が始まります。(上顎犬歯は萌出が遅くなりがちです。)
そして、6才臼歯の手前までの交換が完了する頃と前後して、12才臼歯とも呼ばれている第二大臼歯が萌出して、咬合(かみ合わせ)が完成するのです。
※親知らず(第三大臼歯) を除く。
歯の生え方
具体的にはどうすれば良いのでしょうか?
第一のチェックポイントとしては、前歯と第一大臼歯が萌出するころに、それぞれの位置関係(頭蓋に対する関係も含む)を確認することがあげられます。必要であるならば、その位置関係のバランスを整えておいてあげることが顎が発育にとって重要なことになります。
もちろん、細かい点での不正が認められることは多くありますが、目標とする永久歯咬合の完成まで、まだ時間がかかりますし、顎の成長発育も考えられます。
レントゲンで永久歯の大きさの確認はできますが、顎の成長は予測でしかない為、この時期に行うべき治療としては、その管理ということも含めて、部分的な矯正治療が選択されるべきであると考えます。短期間の治療により、位置関係のバランスが改善される方法であることはもちろんのことです。
第二のチェックポイントとしては、第二乳臼歯が抜け落ちる直前があげられます。
第二乳臼歯とは、先程の第一大臼歯の手前の歯のことで、この次に萌出する永久歯である第二小臼歯は、交換する前の乳歯より大きさが小さく、それより前方に不正があったとしても、ここに余裕があれば、きれいに並べることが可能になるのです。
もちろんそれ以上に余裕のない場合もあります。問題点としては、奥の方にあるので、抜け落ちても分かりづらく、12才臼歯の萌出が早まったりすると、そのすき間を利用することが出来なくなってしまうことなどがあげられます。
具体的な症例
この症例は、上顎劣成長の為、反対咬合の症例を呈しており、前歯部分の部分矯正治療を行い、永久歯萌出後、全体の治療を行ったものです。
この症例は、上下顎関係に問題がない為、永久歯萌出まで、経過観察を行い、萌出後、全体の治療を行ったものです。